結論
就寝1〜2時間前の温浴やシャワーによる受動的な体温上昇は、睡眠の質の改善に対して支持的なエビデンスがあります。メタ分析では、入眠までの時間の短縮や主観的な睡眠の質の改善が一貫して報告されています。
体温を一度上げてから下げる過程が、体内の睡眠に向かう体温リズムを後押しする仕組みとして考えられています。
どれくらい効くのか
メタ分析では、就寝の90分ほど前に40〜42.5度程度の湯温で10分前後入浴した群で、入眠までの時間が平均で数分から10分程度短縮したと報告されています。深い睡眠の割合がわずかに増える傾向も示されています。
効果の大きさは、湯温・入浴時間・就寝までの間隔によって変わります。熱すぎる湯やタイミングが遅すぎる入浴では効果が小さくなる、あるいは逆に寝つきを悪くする場合があります。
研究の現状
参照しているのは、複数のランダム化比較試験と実験的研究を統合したメタ分析、および皮膚温と深部体温の操作が睡眠に与える影響を調べた実験的研究です。対象は健常な成人が中心で、被験者数は個々の試験では比較的小規模です。
高齢者や不眠症の診断を受けた人を対象とした試験も含まれており、対象集団によって効果の大きさに差がみられます。
注意点
- 湯温が高すぎる、または就寝直前すぎる入浴は、かえって覚醒を招く場合があります
- 心臓や血圧に不安がある方、妊娠中の方は、長時間の温浴前に医師へ相談することをおすすめします
- 入浴以外の生活習慣(光環境・就寝時刻の規則性など)との組み合わせで評価されている点に留意してください
簡単なたとえ
体は夜に向けて深部体温を少しずつ下げることで眠りに入ります。入浴で一時的に体温を上げておくと、その後の体温低下がより急な下り坂になり、坂を下るように眠りへ入りやすくなると考えられています。